第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「重めの任務をいくつかこなしてもらおうって振ったけどさぁ……『重め』ってそういう意味じゃなかったんだけどなぁ」
まさか、これほどの事態に直面するとは誰も思わなかったかことだろう。
星也自身、裏であれほど強大な力を持った特級呪霊が控えているなど考えもしなかった。
「順平の家にあった指について二人に――……」
「言ってませんよ。悠仁に不要な責任を感じさせたくありませんし。吉野くんにも呪物であるということしか伝えていません」
いずれ知ることになるかもしれないが、一度に多くのことを伝えては混乱するだけだろう。
母の死と慕っていた者に殺されかけた事実。それだけで絶望を感じるには充分すぎる。
「オマエに任せてよかったよ。で、指は?」
「提出済みです。先生に渡したら、悠仁に食べさせるでしょう?」
チッと舌打ちする五条を見るに、図星のようだ。
「あっ、先生―! 早く皆のとこ行こうぜ! 順平を紹介したいんだ! あ、星也さんもいるー」
「ま、待ってよ、虎杖くん! 僕、まだ心の準備が……学校はずっと休んでたし……友達もいなかったし……」
虎杖に引っ張られる形で順平もやって来る。
高専の学ランに身を包んだ二人。不安に眉を下げる順平とは反対に、虎杖の目はキラキラと輝いてた。
詞織や伏黒たちとの感動の再会、まだ見ぬ二年の先輩たち、京都校との交流会に、虎杖はワクワクが止まらないようだ。
そんな虎杖を、五条は「悠仁……」と呆れた声で呼んだ。