第17章 開幕のファンファーレ【反省】
――交流会当日。
広い応接室を占領し、星也は五条と一緒に、虎杖と順平を待っていた。
現在、暇を持て余している。
「星也~、なんか面白い話してぇ~」
正直、強さは尊敬しているが、それ以外ではあまり関わりたいと思えない人間。
それが星也の中での五条 悟という人間である。
「僕に面白さを求めないで下さい」
人間、時にははっきり言うことも大切である。
「よし、分かった! じゃあ、廃棄のおにぎりでキャッチボールしながら、政教分裂について語ろうぜ! 動画あげて炎上しよう!」
「お一人で。ただ、廃棄とはいえ食べ物で遊ぶのは良くないので、他の物を用意して下さい。空き缶とかいいんじゃないですか? 『使用後は空き缶の回収に出しました』とテロップを出して」
「マジメか! それじゃ、炎上できないじゃん!」
なぜ炎上したがる?
すると、五条は唐突にパンパンッと手を打ち始めた。
「五条 悟の大好きなところで、山手線ゲーム! パンパンッ! 『全部』!」
「――終了です」
元からつき合う気などないが。
確かに暇なので、星也は懐から天枢を取り出し、手入れをすることにした。
「その調子で頼みますよ。悠仁にも吉野くんにも、そういう馬鹿さが必要でしょうから」
人間を殺してしまったことを気に病んでいた虎杖と、母親を喪ったばかりの順平。
きっと、静かな空気や一人になったタイミングで、どうしても思い出してしまうことだろう。
それは星也自身経験済みだ。
だからこそ、一瞬でも楽しいと思える時間が必要である。
星也の言葉に、五条は大きく息を吐いた。