第16章 これから目指すファンタジア【成長/我儘】
場所を移した虎杖は、三体の異形と対峙した。
じゃれつくようにして走ってくる幼子の姿をした異形。
その一体を素手で掴み、コンクリートの床に押さえつける。そして、拳を振り上げた。
『あ……そぼ……』
「……っ」
ビクッと身体が強張る。
この異形は人間。
どれほど異形の姿をしていても。
怯んだ虎杖に他の二体が襲いかかってきた。
どうすればいい?
今も地上では、星也と真人が戦っているはず。
早く合流しなければいけないのに。
けれど、この異形を殺すことと、人間を殺すこと。その間に違いはあるのか?
「くそ……っ!」
両手足を押さえつけられ、相手は殺意を持って襲いかかってきた。
すると、異形たちがゆっくりと口を開く。
『お……が、い……ころし、て……』
* * *