第12章 再会までのインテルメッツォ【幼魚と逆罰】
行くぞーと、意気込みながら、虎杖が部屋を出て行く。
何事にも全力で挑み、突っ走っていく姿に、星也は一抹の不安を覚えた。
まぁ、今回 虎杖に振った仕事は、難しかったり、危なかったりするものではなかったはずだ。
吉野 順平に関しても、被害者と同級生という繋がりはあるものの、それでも呪詛師である可能性は低いと感じている。仮に呪詛師だったとしても、それほど強い力は持っていないだろう。
軽く息を吐くと、虎杖の後を追おうとした伊地知が、立ち止まってこちらを見ていた。
「本当はある程度ではなく、もう分かっているんですよね? 犯人の居場所」
補助官の立場からか、それとも特級という階級だからか。伊地知は年下である自分にも敬語を使う。
星也自身、そういったことを気にはしないが、特別 指摘もしない。
「えぇ、もちろん」
その気になれば、犯人は残穢など残さず、現場を立ち去れるはずだ。それをいくつも残しているということは、また誘い込まれているのだ。
「単身で乗り込むにはリスクが大きいですが、虎杖くんを連れて行くのもまたリスクが伴う。それなら、僕が一人でリスクを背負った方がいい」
彼はまだ子どもだ。自分もまだ二十歳と呪術師の中では幼い方だが、虎杖はまだまだ学ぶことが多い。
嬉しいこと、楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと。経験不足と言っても過言ではない。