第12章 再会までのインテルメッツォ【幼魚と逆罰】
家入と別れて解剖室を出た虎杖は、星也と共に別室で作戦会議をすることとなった。
別室へ入ると、補助官である伊地知が出迎えてくれる。
伊地知が用意してくれたらしいホワイトボードには先ほどの映画館付近の地図が貼られ、いくつもの印と写真がつけられていた。
「ここ最近の失踪者や変死者、窓による残穢の報告をまとめてもらったんだ。これである程度、犯人の居場所が絞られる」
「おっし! 乗り込むか‼︎」
犯人の居場所が分かるのなら、考える時間は必要ない。
とっとと乗り込んで、ぶん殴って解決だ。
しかし、意気込む虎杖に、星也は「いや」と冷静に別の指示を振ってきた。
「『ある程度』分かるだけで、まだ確定じゃない。僕はこのまま調査を続けるから、虎杖くんは映画館にいた少年の調査をしてほしい」
映画館にいた少年――警察の調査で名前や通っている高校、住所などが高専の方へ提示されている。
名前は吉野 順平。映画館近辺に自宅があり、徒歩圏内にある里桜高校の二年生だ。
映画館の被害者は、同じ高校の同級生。
「映画館の監視カメラはスクリーンに続く通路だけだったけど、雰囲気や佇まいからして、吉野 順平が呪詛師の可能性は低いと思う。ただ、被害者と関係があるとなると、話は別だ」
「ジュソシって?」
「呪術を使って人間に危害を加える、悪質な呪術師のことだよ」
なるほど。呪術を使って人間を守るのが呪術師で、危害を加えるのが呪詛師だな。
短いながらも分かりやすく説明した星也は、間を置かずに続けた。