第12章 再会までのインテルメッツォ【幼魚と逆罰】
「呪術師って変な奴多いけど、星也は神ノ原一門の当主ってこともあって、しっかりしてんだよね」
「他の人たちも、先生に『変な奴』呼ばわりされるのは癪だと思いますよ。それに、一門の当主なんて名前ばかりで、僕も含めて三人しかいませんから」
そうか。神ノ原一門は、詞織の双子の姉――詩音によって壊滅したのだと言っていた。
あの刑務所の一件で言葉を交わした紅い瞳の少女を思い出す。
宿儺のように言葉の通じない相手ではなかった。話した時間はほんのわずかだったが、詞織への強い愛情を感じた。
――他の誰を見捨ててでも、妹を守るという強い意志。
「久しぶりだね、虎杖くん」
「あれ? もしかして、初対面じゃない?」
首を傾げる五条に、虎杖は星也と一緒に頷く。
「改めて、僕は神ノ原 星也。"最強"である特級呪術師の五条先生と比べると見劣りするかもしれないけど、そのときは僕じゃなくて、人選を間違えた五条先生に文句を言ってくれ。はっきり言って、僕は他の特級呪術師と比べて強くないから」
「強くない……? でも、特級なんスよね」
実力を認められて特級になったのではないのか。
すると、五条は星也の肩に手を回し、ツンツンと頬を突いて教え子をイジリ始めた。
「強さにも色々あるからね。"力だけなら"、充分学べるよ。僕の次くらいには強いから」
「お世辞でも嬉しいですね」
淡々と返す星也だが……なんだろう。二人の間の温度差が激しい。
「虎杖くん、一つ言っておくけど……僕は五条先生と同じ考えを持っていない」
「同じ考え?」
聞き返す虎杖に、五条は黙って話を聞いている。