夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第11章 来たる日のためのエチュード【邁進〜底辺】
「ボクは京都校三年、垂水 清貴。東堂、お前も名乗っとけ。お友達じゃないヤツに好みの女は話せないって」
別にそういうわけではない。しかし、こちらの心情など無視し、低い体勢のまま東堂も名乗り出す。
「京都校三年、東堂 葵。自己紹介 終わり。これでお友達だな。早く答えろ。男でもいいぞ」
男に興味などない。自分が好きなのは詞織だけだ。
ジリジリとした空気が満ちる中、東堂が続ける。
「性癖にはソイツの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ。交流会は血沸き肉踊る、俺の魂の独壇場。最期の交流会で退屈なんてさせられたら、何しでかすか分からんからな。俺なりの優しさだ。今なら半殺しで済む」
「最後の交流会って……高専は四年制でしょ」
「野薔薇。交流会の参加は三年までなんだよ」
なるほどね、と釘崎が詞織の回答に相槌を打つ。
「答えろ、伏黒。どんな女がタイプだ?」
答えを迫る東堂に、伏黒はちらりと背後を見た。東堂の気迫が恐ろしいのか。詞織は身を小さくして震えている。
釘崎は悠長に「夏服いいなぁ」と真依の制服を眺めているが、彼女も丸腰だ。できれば、揉め事は避けたい。
――「ユージを連れて、野薔薇を助けて逃げて。わたしがコイツの気を引く」
――「わたしはもう、誰も失いたくない……辛い思いをしたくない……っ! 苦しいのはイヤ!」
――「メグのことは、世界で……一番 大好きなの……ずっと、一緒にいたい……っ!」
――「もう挫けない。挫けるのは、これで最後にする」
頭の中で、詞織の言葉が蘇る。誰よりも強くて、真っ直ぐで、頑固で……誰よりも弱い。
詞織の強さに憧れた。真っ直ぐなところに惹かれた。頑固なところがどうしようもなく可愛くて、弱さを愛しいと思う。