第11章 来たる日のためのエチュード【邁進〜底辺】
「アイツら、大丈夫かな?」
「三歳児じゃねぇんだ。お使いくらいできんだろ」
いったい何を心配しているのか。呆れたように返すと、パンダは「そうじゃなくて」と首を振る。
「今日だろ、京都校の学長が来んの。交流会の打ち合わせ。特級案件に一年派遣の異常事態。悟とバチバチの上層部が仕組んだって話じゃん」
京都の学長はその上層部。
宿儺の器である虎杖 悠仁を快く思わない一派の筆頭。
鉢合わせを心配するパンダに、真希の心にも波紋が広がった。
「いや、標的(ターゲット)だった虎杖は死んでんだ。恵たちを今さらどうこうするつもりもねぇだろ。京都のジジィだって、表立って騒ぎは起こさねぇって」
パンダへ返すというより、自分に言い聞かせるように言う。
「教員は立場があるけど、生徒はそうでもないよな」
そこまで言われて、初めてパンダが何を心配しているのかが分かった。
「……来てるっていうのか。真依が」
「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからな」
でもなァ……アイツら、嫌がらせ大好きじゃん。
続くパンダの言葉に、真希は伏黒たちが買いに行った校内の自動販売機へ急いだ。
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