夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第11章 来たる日のためのエチュード【邁進〜底辺】
詞織は伏黒の手を小さな手のひらで包んだ。
何か言おうとしたが、結局 何を言うこともなく口を噤む。掛ける言葉が見つからなかったのだ。
必死に頭を巡らせながら伏黒を見上げると、彼の瞳と目が合う。
「あ、えっと……わ、わたし……」
受刑者を助けられなかったこと。詞織は謝りに行こうなどと考えなかった。彼らが死んだのは自業自得だ。
けれど、伏黒の話を聞いて思ったのだ。せめて、助けようとした意思は、知っていてもらいたい。
釘崎、そして虎杖は――それでも助けようとしたのだということを。
伏黒は、虎杖の遺志を残そうとしたのだ。
彼の正しさと、善意を。
なんだか、自分がとても醜く思えて、恥ずかしくなった。
「メグは……優しいね……わたしは……」
思わず俯くと、大きな手のひらが頭を撫でる。
「俺が勝手にやったことだ。それより、急ごう。皆もう始めてるだろ」
「うん。そうだね」
* * *