夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第8章 トラジェディの幕開け【呪胎戴天】
「【突き進む光の向こう たとえ明日を見失ったとしても】」
溢れる心、生まれる旋律をそのままに歌を紡ぐ。眩い光のフィールドが形成され、守るように詞織を包み込んだ。
「【君と過ごした時間を今、未来へ繋いで “絶対” 掴んで見せるから……】!」
呪霊が迫る。
詞織を消し飛ばそうと、呪力の塊を放ってきた。
それを、光のフィールドが受け止める。ビリビリと衝撃が走り、余波が頬に裂傷を刻んだ。歌が途切れそうになるも、どうにか耐えた。
この喉が潰れるまで、歌い続ける!
「【名前を呼ぶたびに 呼ばれるたび ずっと強くなれる】」
思い出す。伏黒の不器用な優しさ、ぶっきらぼうで思いやりのある言葉。
たまに見せる力の抜けた笑顔、頭を撫でる大きな手の温もり。
――「“絶対”に――……俺のところに帰ってこい!」
光が集まり、ピキッと形を変えると、眩い二本の聖剣が現れた。詞織は腕を振り、歌い続けたまま 聖剣へ号令を出す。
ビュンッと駆け抜けた二本の聖剣が呪霊へ迫った。
「【キミの瞳が その優しさ 笑顔が眩しい】」
パンパンッと剣は弾かれる。けれども、止まらない。止まれない。
伏黒たちが逃げ切れるまで。この声が嗄れるまで。喉が潰れるまで。
「【生まれる想い この歌声(こえ)に乗せて――】‼」
詞織は再び召喚した聖剣を手に、地面を強く蹴った。
剣を振りかざす。まさか、単身で迫ってくるとは思わなかったのだろう。
一瞬 固まった呪霊に向けて、詞織は勢いのまま、大きく聖剣を振り下ろした。
――ザンッ!
左の首筋から斜めに切り裂く。血飛沫が地面を濡らした。