夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第8章 トラジェディの幕開け【呪胎戴天】
「やっ、た……?」
もしかして、特級を倒せたのだろうか。それも、詩音に頼ることなく、自分の力で。
胸にじわりと、高揚感や達成感が満ちる。
だが、そんな気持ちも束の間。
呪霊の頭にいくつもついた目がギョロリと蠢き、詞織は息を呑んだ。
ダメだ。やはり、自分の力では及ばない。
呪霊の傷が塞がっていく。
それを見て、詞織の頭は一瞬で状況の不利を判断した。
なりふり構っている場合ではない。
「詩音! おねが――……」
呪霊が鋭い爪を備えた腕を突き出してくる。迫る呪霊の腕が、やけにゆっくりと映った。
それなのに、身体は少しも動かなくて……。
――メグ……。
不器用な幼なじみの姿が、脳裏を過ぎる。
同時に腹部へ衝撃が走り、詞織は意識を手放した。