第7章 ジョコーソに更ける夜
「言いたいことは終わった」
「はいはい。あんたも特級呪霊を飼ってるってことね。了解したわ」
「飼ってるつもりはない。共存してる」
少しムッとした表情をするが、そんな顔も可愛いと思う自分は重症だろうか。
「伏黒は知ってたのか? 幼なじみだよな」
「あぁ。最初から話は聞いていたからな」
五条に引き合わされる前に聞かされていた。
「でも、特級呪霊に憑かれてて処刑にならないなんて、どんな手を使ったの?」
「別に。わたしも本来なら秘匿死刑のはずだった」
「あ、俺と一緒じゃん。執行猶予?」
バカめ。詞織と虎杖では、そもそものケースが違う。虎杖が取り込んだのは、『呪いの王』と呼ばれる両面宿儺だ。
「わたしもユージと同じで、五条先生の口利き。執行猶予じゃなくて経過観察。何かあればすぐに死刑」
まぁ、詩音は何重にも“縛り”を施されている。よほどのことがない限り暴走はしないはずだ。
なんとなく気まずい空気が降りる中、虎杖が「そういやさぁ」と新しくスナック菓子を開けながら口を開いた。
「五条先生って、なんで目隠ししてるの?」
「呪霊と目を合わせないためじゃないの? 呪術界じゃ、別に珍しくないわ」
新しく開けられたスナック菓子に手を伸ばしつつ、釘崎が答える。
「トーシローのあんたは知らないかも知れないけど、“見られた”って理由で攻撃してくる呪霊もいるのよ」
釘崎の解説に、虎杖も「なるほど」と相槌を打ってサイダーを飲み干した。
五条の目隠しはそれが理由ではないのだが、自分が説明することでもないので黙っておくことにする。
「目隠しを外した五条先生はすごく綺麗な顔をしてる」
「マジ⁉︎ イケメンってこと⁉︎」
ボソリと呟いた詞織に、釘崎が目を輝かせる。
何度か見たことがあるが、確かに五条は整った顔立ちだ。しかし、それを詞織が言うのは気に入らない。