第59章 終わらないドミナント【渋谷事変/堅白】
「メッセンジャーなんて、虎杖 悠仁一人で事足りるでしょう!」
――【氷凝呪法『直瀑(ちょくばく)』】!
裏梅と夏油を取り囲むように氷塊が生み出され、虎杖たちへ向けて射出される。弾丸の如き速さに氷漬けにされた虎杖たちの頭上からさらに巨大な氷柱が落下する。
眼前まで迫った冷たい切っ先に死を覚悟した虎杖だったが、その衝撃はいつまで経っても訪れなかった。
「久しぶりだね、夏油君。あのときの答えを聞かせてもらおうか」
瞼を開くと、そこにいたのは背が高く、抜群のプロポーションを持った女性だった。氷漬けにされた身体も左肩を残してほとんど砕かれている。
「どんな女がタイプだい?」
「九十九 由基!」
聞き覚えのある台詞。東堂と知り合いだろうか。
そんなことを考える虎杖の前で、九十九と呼ばれた女性は、夏油と知り合いらしい。
「覚えているかな? 世界から呪霊を失くす方法。どんな手段を取るにしろ、人類を一つ上の段階へ進めることになる。人類の未来(ネクストステージ)、それは――呪力からの“脱却”だよ」
「違う――呪力の“最適化”だ」
自分と反する答えに、九十九が肩を竦めてこちらに意見を求めてくるが、虎杖にはどちらの言い分もさっぱり分からない。
「脱却のプランは十二年前、禪院 甚爾が死んだ時点で捨てたと思っていたよ」
「夏油君に話しかけたんだけどね」
まぁいいか、と言って九十九は続ける。