第7章 ジョコーソに更ける夜
『あぁ! 心が引き裂かれてしまいそう! 息が詰まってしまいそう! ぐちゃぐちゃにしてやりたい! アイツらみたいに! そう、アイツらも、苦しんで死んだわ。でも、本当はもっと壮絶な苦痛と悲惨な最期を与えてやりたかった……!』
「アイツら……?」
虎杖が呆然と呟くが、伏黒には少女の言う"アイツら"が誰なのか、容易に察することができた。それは釘崎も同じようで、勝気な目を見開いた彼女は「まさか!」と口にする。
「あんた……まさか、【神ノ原の惨劇】の……?」
すると、濁った紅の瞳がギョロリと蠢き、機械的な動作で口角を上げ、詩音は艶然と歪んだ笑みを作った。
『あたしは神ノ原 詩音。詞織の双子の姉。お察しの通り、あたしが【神ノ原の惨劇】を引き起こした。だって……アイツらがあたしと詞織の存在を認めないから。あまつさえ、あたしに詞織を殺せと言ったのよ。「一卵性の双子は不完全な存在」、「生きることを許さない」「それが神ノ原の掟だ」って。そんなことある? なぜアイツらに許しを乞わなければならないの? だから……』
――殺してやった。
許さないのならばそれで構わない。だったら、そんな掟ごと壊してやる。