第58章 アジタートに昇華する【渋谷事変】
――23:28
渋谷ストリーム前
「日下部~」
ビルが溶解し、倒壊し、目も当てられぬ惨状の中で、瓦礫が退けられる。
「おっ、見―っけ」
刀を抱えてどうにか瓦礫の隙間に潜り込めた日下部は、全身を呪力でガチガチに強化し、どうにか特級呪霊の隕石の攻撃から生き延びることに成功した。
パンダもゴリラモードで耐えたようだ。
よかった、よかった。
「パンダよ。随分と話が違うじゃねぇか」
日下部の上から瓦礫を退けつつ首を傾げるパンダに、日下部は「虎杖だよ」と言葉を重ねた。
「いや、アレは宿儺……」
「肉体の主導権は虎杖にある。詞織に取り憑いている詩音とは少し理由は違うが……そういう話だったろ」
日下部も虎杖の事情は五条から聞いて知っている。
宿儺はほとんど虎杖に干渉しない。肉体の主導権を求めることもない。だから、日下部も静観していた。
だが、こうなってしまっては話が別だ。
「先に言っとくぞ。五条が消えて、今後 虎杖にどんな処分が下ろうと、俺が虎杖側につくことはない」
――俺は虎杖 悠仁の死刑に賛成だ。
はっきりと言い切った日下部に、パンダは何か言葉を探していたようだが、結局 肯定も否定もしなかった。
* * *