第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
「新田は吉野を連れて救急車に乗れ。星良は……」
「呪符に切り替えて除細動を続けます」
「頼んだ。あたしは先に機材の準備をする。与、運ぶのを手伝え」
「あぁ」
張り詰めた緊張感の中で、新は指示されたことをこなすしかなかった。
「吉野さん、大丈夫ですか?」
「うん」
「すみません。俺がもっと役に立ててれば……」
ドン引きするような戦い方ではあったが、自分が戦闘でも役に立てれば、あんな風に戦う必要もなかっただろう。
「新くんは充分やってくれたよ。僕がこうして生きているのは君のおかげだし、釘崎さんに希望が残されているのもそうだ」
そう言ってもらえると、いくらか救われる。
順平に肩を貸しながら、救急車へと向かい、ふと思い出した。
「あ、メカ丸先輩! 落ち着いたら、皆に会うてやってくださいね。頼みますよ!」
そう声をかけると、与は一度 目を逸らし、小さく微笑を浮かべる。
「ありがとう」
肯定でも否定でもないのは意図してだろうか。
そのことが気にはなったが、順平を運ばなければならないため、追及することはできなかった。