第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
「家入さん! 釘崎さん、が……あれ……?」
「吉野さん⁉︎」
救護室に入るなり、順平がふらりと床に倒れ伏した。
「身体……動かな……」
「それ、さっき言うてた毒やないですか?」
二級呪霊を祓った後も、何体か呪霊と交戦した。あの戦いぶりを見るに、痛覚を麻痺させる……というより、感覚を麻痺させるという方が正しい気がする。
順平も新の指摘に「あ……」と冷や汗を流した。
すると、順平に呼ばれた家入が駆けてきて、釘崎と順平の容体を手早く確認する。
「貧血のところに毒をぶち込んで過剰反応を起こしてるな。前に問題なかったときと今のお前とでは身体の状態が違うんだ。むしろ、よくここまでよくもったな」
もっと言ってやってくれ。こちらの方がビビるレベルだ。新は順平を支え、身体を起こしてやる。
「問題は釘崎だな。心停止してる。状況を説明しろ」
軽く自己紹介をし、新は説明をするべく口を開いた。
「例の改造人間を作るツギハギ呪霊の術式を食ろうてます。俺が到着したとき、吉野さんが術式の中和をやっとりました。その後、俺の術式で状態を固定して……良くなってませんが、悪くもなっとりません」
「心停止してどれくらいで掛けた?」
「正確には分かりません。そんな経っとらんとはずですが……」
「術式の中和はいつ始めた?」
「真人の、術式を食らった……直後……」
掠れた声で順平が答えると、家入は「そうか」と短く返事をする。
「離れてろ」
釘崎の服のボタンを外す家入に、新は慌てて順平を連れ、距離を取った。
心電図の電極をつけると、新に術式を解くよう指示し、彼女はすぐに左顔面に残った術式の解呪を始める。