第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
「ホンマにやりよった……」
三級術師――戦術の組み立ては危うく、戦っている様子から東堂たちのような技のキレも感じられない。それなのに、間違いなく二級呪霊を圧倒していた。
自分で新米と言っていたのだ。場数もそれほど踏んでいるわけではないのだろう。
自分とて呪霊を前にするといささか怯んでしまうのに、順平にはそれがないどころか、戦い慣れているようにすら感じる。
確か、東京校の一年は現代最強の術師である五条 悟の受け持ち――いったい、どんな訓練を積まされたんだ。
「急ごう、新くん」
この人、二重人格なのか?
気弱で柔和な雰囲気かと思えば、戦う相手を前にすると苛烈さを見せてくる。
まぁ、その苛烈さが自分に向けられていなければ構わないが……。
「あ、肩の傷……」
「【澱月】の毒で痛みを散らしてるから、しばらくは大丈夫」
「それ、大丈夫と違くないですか……」
どうなっているんだ、東京校……。
「気にしないで。戦闘は僕に任せてよ」
いや、胸に穴があいているのを忘れていないか?
さっきまで それで死にかけていただろう。
このままでは、この同級生なんだか上級生なんだか分からない術師が無茶をしてしまう。
内心でドン引きしながら、新は駆け足で家入のいる首都高速三号へ急いだ。
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