第7章 ジョコーソに更ける夜
自分はいったい何をやっているのか。
伏黒は烏龍茶を飲んで、こっそりとため息を吐いた。
この歓迎会だか懇親会だかになんの意味があるのか。
……というか、この流れ。
虎杖から時計回りにきているから、次は自分ではないか。
面倒くさ、と思いながら、伏黒は手短に済ませることにした。
「伏黒 恵。二級呪術師。影から式神を呼ぶ術式を使ってる」
これだけ言えば上等だろう。
だが、虎杖や釘崎は不満なようで、ブーブーと言ってきた。
「えぇ! そんだけか! まだ何かあんだろ!」
「ホント感じ悪いわね! もっと何か言いなさいよ」
「埼玉出身。以上」
「都会の出身だからって、いい気になってんじゃねぇぞ、コラ!」
どんだけ都会に僻(ひが)みを持っているのか。
今にも掴みかかってきそうな釘崎に辟易してしまう。
そんな伏黒を助けるように、詞織が「次はわたし」と始めた。
二人も聞く体勢に入り、静かに菓子やジュースに手を伸ばしつつ黙る。
「神ノ原 詞織。メグと同じ二級呪術師。三級に昇級したのはわたしが先だったけど、二級の昇級はメグの方が先だった」
ちょっとだけ、と小さくつけ足す。
未だに気にしているらしい。それがおかしいのと可愛いのとで、伏黒は内心で小さく笑う。