第7章 ジョコーソに更ける夜
「釘崎は釘とか藁人形とか金槌を使ってたよな?」
「釘と金槌? 【芻霊(すうれい)呪法】か?」
芻霊というのは形代のこと。相手に見立てたものを攻撃すると、相手にも同等の現象や痛みを与えることができる呪法である。
虎杖が挙げた道具から連想した伏黒に、釘崎は頷いた。
「そうよ。私は五寸釘を飛ばして、刺さった相手に釘から呪力を流し込んで攻撃することができるの」
チャリ、とベルトから長い釘を取り出してちらつかせる。
「芻霊呪法は、欠損した部位を攻撃して、逃げた相手にも遠隔で攻撃できる。使える仲間がいるのは心強い」
自分の持たない技だ。やはり、色々な術式を持つ者がいると、攻撃も戦法も幅が広がる。
前線での活躍が期待できる虎杖、前線のサポートが得意な自分、多種多様な能力を持つ式神を操る伏黒、後方からの攻撃にも優れた釘崎。
何ともバランスの取れたチームだと思う。
まぁ、自分と伏黒は、単独任務も許される二級呪術師。四人揃っての任務も、そう多くはないだろうが。
詞織の賛辞に、釘崎は釘を仕舞いながら、「そう?」と少し照れたような表情を見せた。
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