第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
「釘崎さんをお願い。ここは僕がやるから、少し待ってて」
「はぁ? 本気ですか?」
クラゲの式神――【澱月】から釘崎を預かるも、新の不安は増すばかりだった。
「等級なんてただの数字だ。コイツらが準一級だっていうなら さすがに考えるけど」
キンッと音を立てて警棒型の呪具を取り出した順平の後ろに【澱月】が控える。
立ちはだかるのは、細い手足を持つ毛むくじゃらな呪霊と鋭い鎌を持つ昆虫型の呪霊だ。
「新くん。僕はね、自分が世界で一番 不幸だと思ってたんだ」
学校でイジメられ、母親が殺され……世界から見放された人間だと思っていた。
そう話しながら、昆虫型呪霊の鎌をキンキンッと警棒型の呪具でいなし、毛むくじゃら呪霊の拳を【澱月】が滑らかなボディで弾く。
「でも、本当は分かってるんだよ。そう思っている人間は大勢いて、僕はそのうちの一人でしかないって。そして、僕より不幸な人間も、世の中にたくさんいる。虎杖くんが皆に引き合わせてくれて、よく分かったよ。僕は恵まれた側だったって」
――【拡張術式――澱月 三式『満(みつる)』】」
【澱月】の触手の棘が順平を刺した、瞬間――順平の呪力が上がり、目が充血していく。
順平が地面を強く蹴り上げると、衝撃で地面が抉れた。そのまま跳躍した順平は、毛むくじゃら呪霊に鋭い蹴りを放つ。
あの威力……加茂の【赤血操術『赤鱗躍動』】に似たドーピング効果を持っているのか。