第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
君、と見知らぬ声に呼びかけられ、身体を揺さぶられる感覚に、順平の意識は浮上した。
ゆっくり瞼を開くと、燕尾服の学生服を着た少年がこちらを覗き込んでいる。
「よかった……目 覚まさへんから、どないしようかと思いました。俺一人で二人も抱えんのはしんどいんで」
「僕は…………はっ! 釘崎さん……!」
真人に胸を貫かれたこと。釘崎が真人に左顔面を触れられ、倒れたこと。釘崎に突き飛ばされた衝撃……少しずつ記憶が確かになり、順平は釘崎を探すべく立ち上がろうとして、急速な目眩に襲われた。
「ちょぉ……っ! 急に立ったらあかんですって!」
「……あ……えっと……?」
「京都の新田 新。覚えてます?」
京都、新田 新……聞き覚えのある単語に、順平は「あ」と思わず声を漏らす。
「新田さんの……弟……?」
朦朧とする意識の中で、確かに聞いた気がした。順平の言葉に燕尾服の少年――新は、「まぁ、それでえぇですわ」と小さく息を吐く。