第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】
新幹線の出入口スペースでは、重苦しい空気が立ち込めていた。
「メカ丸のヤツ、何 カッコつけてんだよ。ンなの、面と向かって言わねぇと意味ねぇだろ」
チッと舌打ちをしながら、垂水が珍しく乱暴な口調で悪態を吐く。だが、こればっかりは加茂も同意見だった。
「歌姫先生。メカ丸のしたことは……」
「不問、というわけにはいかないわね。やったことがやったことだから」
真依の問いに歌姫が悲し気に瞼を伏せる。これほどの事態になっているのだ。彼女も分かっているのだろう。最悪の場合 死刑もあり得ると。
「それにしても、随分と低く見積もられたものだな」
「マジでそれな。“オレ”、全ッ然 納得いってねぇんだけど。オマエらだけならまだしも、この“オレ”まで役立たず枠に入れるってどういう了見だよ」
垂水の言い分に思わず「オイ」とツッコミを入れる。おそらく、コイツが苛立っている一番の原因はソレだろう。
「っていうか、東堂くんなら死なないとか、あたしたちなら死ぬとか 関係ないっつーの。メカ丸 痛めつけて、霞まで泣かせたのよ。絶対 ブチ殺す」
殺気立つ桃に、真依も「そうね」と不敵に口角を上げた。
「歌姫先生、まさか止めようなんて思ってませんよね?」
念のため加茂が歌姫に確認を取ると、彼女は真剣な表情をし、フッと眉を下げる。
「止めるつもりなら ここまで来てないわ」
すると、垂水がガンッと新幹線の壁を蹴飛ばした。