第56章 この手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
『ハハッ! モロじゃん‼』
嗤う真人の分身体へ虎杖は飛び掛かり、勢いよく構内の壁に向かって殴りつけた。
「邪魔だ!」
血を撒き散らす真人(分身体)に構わず、虎杖は釘崎に駆け寄る。
「真人が二人⁉ まさか……⁉」
「釘崎!」
駆け寄る虎杖に順平と釘崎も状況を理解したのだろう。触れられた左側の顔を押さえ、釘崎は佇んでいた。
「釘崎さん! 僕を庇って……」
顔を青くし、泣きそうな顔で順平も呼びかける。
釘崎の様子を窺っているのか、真人が静かにこちらを見ていた。
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分身とすれ違い、釘の女に触れることができた。
一度 助けた命である順平の方が、虎杖のメンタル(魂)的には効きそうだが……仲間の死であることに変わりはない。充分だろう。
あの特級術師は一度 触れただけでは仕留めきれなかった。
こちらを裏切った与も、どういうわけか生きていた。
この女は……どうなる?
女へ駆け寄る虎杖と順平を見ながら、真人は様子を窺った。
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