第56章 この手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
「釘崎⁉ 順平⁉」
突如 全身を貫かれた真人に驚愕するも、このチャンスを掴むべく、虎杖はすぐに動いた。素早く一歩を踏み出し、真人に連撃を叩き込む。
この感じ――釘崎の【共鳴り】の余韻……そこに順平の毒が加わり、まともに動けないようだ。
釘崎、順平……! ありがとう‼
さらに重く叩きつけた拳が真人の腹にめり込み、背後の柱に大きな亀裂を入れた。ギシギシッと真人の身体が軋みを上げる。
俺は誰も救えなかった。
皆の苦労も台なしにしてしまった。
それでも――俺は独りじゃないと思わせてくれて。
だから――オマエはここで殺す‼
ひたすら拳を打ち据える。
起き上がる間もなく、息を吐く間もなく、ただひたすら。
やがて、真人が肉体を小さくし、弾けるようにいくつも分裂した。どれか一つには、潰せば致命傷となる魂の部位が含まれているはず。
虎杖は分裂した真人たちの気配を探る。そこに、一体だけ呪力の質が違うものを見つけ、虎杖は蹴りを放った。
『ひっかかった!』
反対方向の分裂体が真人の姿を取り、笑いながら逃げ出す。
クソッ! 呪力で釣られた‼
【共鳴り】や順平の毒の余韻がいくらか引いたのか。真人は素早い足取りで構内を駆けて行く。
真人の後ろ姿を追いかけていると、その向こう側からこちらに駆けてくる陰があった。