第56章 この手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
「気張んなさい。こっからが本番よ」
「分かってる」
順平が分裂していた【澱月】を戻し、触手を伸ばして 地面に突き刺さっていた警棒型の呪具を回収させる。
身を低くして構えると、真人が「いや」と微かに眉を跳ねさせた。
「逃げまぁす!」
「「……はぁ⁉」」
釘崎は一瞬 判断に迷う。
真人を無視して五条のいる地下五階に向かってもいいが……真人を野放しにする方が後々 面倒事が増えそうだ。
少なくとも、コイツを祓うことができれば改造人間の供給を断てる。
「追うわよ!」
「はい!」
真人に先ほどまでの俊敏さはない。けれど、一瞬でも迷ってしまったことで、距離を縮めるのが難しく、追いつけない。
やがて、真人が地下へと続く階段を飛び降りた。
「地下⁉」
「ちょうどいいじゃない。この地下は副都心線ホームに繋がってるわ! アイツ祓って、そのまま地下五階に向かうわよ‼」
「うん!」
真人にダメージを与えられたのが自信になったのか。
順平は臨むような表情で力強く頷いた。
* * *