第56章 この手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
「【拡張術式――澱月 二式『朧(おぼろ)』】」
「【芻霊呪法――共鳴り】‼」
【澱月】の毒を乗せた【共鳴り】が真人に放たれる。釘崎はそれで真人の魂を打ち抜き、毒で侵食する算段だった。
結果、【共鳴り】は分身を通して本体の魂を捉える。そして本体の受けた魂のダメージは、再び毒と共に分身へフィードバックした。
血を吐き出しながら、真人は驚愕に目を見開く。
まさか……まさかだ!
この釘の女……!
自分の天敵は、虎杖 悠仁だけではなかったのか‼
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「妙だな……少し離れたところであたしの呪力が爆ぜる感じがした」
首を巡らせて呪力の爆ぜた方向を見ると、順平が「そういうことか」と納得した様子で頷いた。
「僕の知ってるアンタと少し呪力の圧が違う気がしてたんだ。それに、間合いに入ってきても触れて改造する気配もないし。もしかして、今のアンタは分身体か何かで、術式が使えないんじゃない?」
なるほど。思い返してみれば、触れるチャンスはいくらでもあったし、そうするだけの手段もあったはずだ。
「……正解」
ビクビクッと腕を震わせながら、真人が額に刺さった釘を抜く。
順平の毒の影響か。殺すほどの威力は乗せられなかったが、多少の麻痺効果にはなっているようだ。
【共鳴り】が効く以上、向こうも警戒しているだろう。先ほどのようにドカドカと打ち込むようなことはできない。