第56章 この手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
「あたしの【共鳴り】なら、ツギハギの魂を打ち抜けるかもしれないわ」
【芻霊呪法――共鳴り】。
これは、腕や脚などの呪力を帯びた身体的な繋がりのある部位に藁人形を重ね、呪力を帯びた釘を打ち込む技。十中八九、ツギハギ呪霊の魂を捉えることもできるだろう。
「……ねぇ、釘崎さん」
不意に静かな声音で順平に呼ばれた。
「それって……僕の毒も役に立てないかな?」
「は?」
突然 何を言い出すのかと思ったが、順平はいたって真剣だった。
「真人さんに一矢 報いたいんだ。無理、かな?」
「試したことはないけど……」
術式の対象に【澱月】を重ねて打ち込めば可能だろう。だが……。
「アンタの【澱月】もぶち抜くことになるけど、それは大丈夫なわけ?」
【澱月】を失えば順平の術式は失われる。
そうなれば、順平は呪術師としては終わりだ。
「大丈夫。僕も【澱月】も強くなってる。だから……」
戦う覚悟――順平の瞳からそれを感じ取り、釘崎は一つ息を吐いた。
「訓練場に行くわよ。それらしくなったら簡単な任務で試す。ぶっつけ本番なんて死ぬのと変わんないわ」
「あ……うん!」
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虎杖の背後で殺気が迸る。改造人間の血液で視界が塞がれ、よく見えなかった。
振り返ったときには遅く、攻撃に身構える――そこへ、真人の身体が不自然に固まった。
――ザクザクッ!
『なっ……⁉』
突如として真人の身体が貫かれた。
「釘崎⁉ 順平⁉」
真人の身体から釘崎の呪力の気配と、それに混ざって微かに順平の呪力も感じる。
千載一遇のチャンスに、虎杖は目元を拭う間も惜しみ、渾身の一撃を真人に放った。
* * *