第7章 ジョコーソに更ける夜
「うわ、面倒くさッ」
「互いを知って、交流を深めておけって。あの人、意外と『青春』みたいなの好きだから」
あからさまに眉を寄せる釘崎に、伏黒もため息を吐く。
「いいじゃん! せっかく用意してくれたんだしさ! 俺、三人のこともっと知りたい!」
真っ直ぐな虎杖の言葉は、詞織の心までスッと通った。
もっと知りたい。
単純に、その言葉を『嬉しい』と感じた。
自分という存在を認め、理解(わか)りたいと思ってくれる人がいるのは、誰だって嬉しいものだ。
「フルーツ缶はあるの?」
「え? うーん……ポ●チとかポ●キーとか、あとチョコレート? ジュースは炭酸系が多いけど、オレンジとかりんごとかも……」
「フルーツ缶、持ってくる」
一旦、部屋に戻り、買い溜めしてクローゼットに入れていたフルーツ缶の山から、パイナップルと黄桃の缶を取り、フルーツを食べる用に買った小さなフォークを引き出しから取り出す。
廊下に戻ると、誰の部屋に行くかで話が進んでいた。
「えー、いいじゃん。釘崎の部屋も詞織の部屋もそこだろ? どっちか貸してくれたって」
「バッカ! デリカシーなさすぎ! 女子の部屋に上がり込むとか、十年早いわ!」
主に虎杖と釘崎の意見がぶつかっている。
「なら、わたしの部屋に来る?」
「おいそれと男を部屋に上げるな。もっと警戒心を持て」
伏黒の言っている意味が分からない。
別に、乱暴に押し入るわけではないし、用事があるのだからいいではないか。