第55章 永久を願うコン・アモーレ【渋谷事変】
「……本当に、大丈夫なんだね?」
「あぁ。アイツは俺が殺す」
因縁でもあるのか。殺気のこもる声音に不安を覚えたが、任せるしかない。
「――【大鷲】」
【大鷲】の【折神】に呪力を流し、人を運べるほど骨格を太く大きくして呼び出す。
「【自来也】を残していくから、うまく使って。僕の込めた呪力が切れるまでは動く」
「でも、破壊されたら……」
「気にしなくていいよ。僕の【折神】は伏黒君の式神と違って、術式を解けば消える」
灰原が説明すると、少し安心したように頷いた。
「七海は必ず助ける。だから君も、絶対に死なないで――頼んだよ、虎杖君」
合図を送ると、七海と星良を乗せた【大鷲】がバサッと羽をばたつかせて飛び上がる。その足に掴まり、その場を離れた。
そのまま少し開けたところに出たのを確認して飛び降り、星良と七海も下ろす。ザァ…と【大鷲】の術式が解けてパラパラと音を立てて消えた。
「……星良ちゃん……」
振り返ると、星良は譫言のように「七海さん」と繰り返しながら、【反転術式】を続けている。
「星良ちゃん」
幼子に呼びかけるように優しい声音で、星良の頭に手を触れた。
「七海の容体は?」
取り乱している人がいると 逆に冷静になれるって本当だな、と心のどこかで思いながら、涙で赤く腫らした星良の夜色の瞳と目を合わせる。
「は、【反転術式】を回し続けてないと……す、すぐ、死んじゃう……っ!」
そうか、と頷き、頭を撫でていた手を頬に滑らせた。