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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第55章 永久を願うコン・アモーレ【渋谷事変】


 ツギハギの特級呪霊が吹き飛ばされ、明るい髪色の少年――虎杖が駆け寄ってきた。

「七海さんは⁉︎」

 灰原は固唾を呑み、星良の【反転術式】を受ける同期へ視線を向ける。

 星良が震える手で筆を七海の身体に【修復】と書き、抱きしめるようにして文字へ呪力を注ぎ続けた。

「できない……傷がっ! 酷すぎて……っ! 七海さん……七海さん……っ!」

 星良が泣きじゃくる。こんな彼女を見たのは初めてだった。

 どれだけの重傷者を前にしても優しく励まし、懸命に治療に当たっていたのに……今は呪力操作も乱れ、【反転術式】が上手く作用していないように見える。

 このままでは七海が死んでしまう。どこか落ち着ける場所に移動して冷静さを取り戻させないと……。

 だが、吹き飛ばしたツギハギ呪霊は祓えたわけではない。すぐに戻ってくる。それを虎杖一人に任せるわけには……。

「灰原さん、だっけ?」

「あ、うん。そうだよ」

 吹き飛ばされたツギハギ呪霊を警戒して拳を握ったまま、虎杖は話しかけてきた。

「ここは俺が引き受ける。だから、安全な場所で七海さんを治療してくれ」

「待って! 相手は特級だ! それも、攻撃が効かないって聞いてるし、触れた人間を改造する危険な術式も持ってる! 君一人じゃ……!」

「大丈夫。前に戦ったことのあるヤツだから。確かにそのとき、星也さんの攻撃はすぐに回復して効かなかったけど、どういうわけか俺の攻撃は効く。それに、アイツは俺を改造できない」

 まさか……特級術師である星也の攻撃が効かない相手に、学生である虎杖の攻撃が効く?

 そのとき思い当たったのは、虎杖 悠仁が【宿儺の器】だということ。それが、本人の自覚していないところで作用しているのか?

 さすがに、自分の頭では七海のように難しいことを考えるのは無理だ。

 自分が見て分かることは、先ほどの蹴りが見事なものだったということ。一年にしてはかなり戦い慣れている。さすが五条の生徒だ。

 虎杖にアドバンテージがあるなら任せてもいいかもしれない。

 自分も残りたいが、星良一人では七海を運べないし、仮に【折神】に二人を運ばせても、今の精神状態の星良では七海の治療はできない。
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