第55章 永久を願うコン・アモーレ【渋谷事変】
「灰原さん? どうしたんですか?」
「おかしいんだ! 七海の残穢があるのに……どこにもいないんだよ‼︎」
サァ…と血の気が引いていく。そして、ハッとして周囲を見回した。
炎に炙られた箇所は三ヶ所……いたのは真希と直毘人の二人。
残穢を確認する。確かに、七海のものが残っていた。
詞織と伏黒のものもあるが、二人が無事なのは星也からの式文(しきぶみ)で知っている。その頼みの星也も、総監部からの呼び出しでまた渋谷を離れるらしいが。
無意識に右手の婚約指輪の感触を確かめ、グッと奥歯を噛み締める。
「【書字具現術――捜索】!」
星良は七海の名前を書き、呪符を飛ばした。
「灰原さん、追いかけましょう!」
灰原の【駿馬】に乗り、星良は呪符を追いかける。術式が発動したということは、少なくとも生きてはいる。けれど、彼は炎の攻撃を受けている可能性が高い。
同じ攻撃を受けた真希が重傷で、直毘人は死んだ。七海も相当ダメージを受けているはず。
呪符は階段を下り、突然 ボロッと欠けて消失した。その視線の先で、ツギハギ呪霊が男の胸に触れている。
「七海!」
「七海さん!」
左半身が焼けて元の面影もないけれど、間違えるはずがない。
星良はすぐに呪符を飛ばし、悲鳴とも聞き取れる声で呪符に刻まれた術式を発動した。