第55章 永久を願うコン・アモーレ【渋谷事変】
「……この改造人間は、あなたの仕業ですね」
「あぁ、そうだよ。君もすぐに仲間入りさ」
確か、素手で触れることが術式発動の条件――詰んだな。もう逃げるだけの体力も武器を振る気力もない。
「最期にお話しするかい? つき合ってあげるよ」
ツギハギ呪霊が言うが、語る言葉など持たなかった。
自分は何がやりたかったのだろう。
術師を続けて来られたのは、灰原と星良がいたからだ。
自分には二人のような志など、あってないようなものだった。
それでも、誰かを救い、助けたときにはやりがいのようなものを感じていた。
だが、救われない命、悪質な理不尽や現実から逃げ出したい気持ちはいつもあって……。
そのとき、走る足音と気配に視線を向ける。
「七海さん!」
目の前の光景に目を見開く虎杖へ、ツギハギ呪霊が歪んだ笑みを浮かべた。
あぁ、死ぬのか。彼の目の前で。
それはきっと、虎杖の心に【呪い】のような傷をつけるだろう。
――「その代わり、あたしが駆けつけるまで、自分の命も諦めないでください。約束です」
――「僕も、七海が呼んだら超特急で【折神】走らせるから‼」
「……星良さん……灰原……」
囁くほど小さな声。
ツギハギ呪霊の術式が発動し、強烈な頭痛が襲い、嘔吐感が込み上げる。
息を呑む気配は自分か、虎杖か。
せめてもの抵抗で呪力を纏おうとしたが遅く、全身が粟立つようにボコボコと肉が収縮するのを感じた。
そのとき――……。
「七海!」
「七海さん!」
待ち望んだ声が聞こえるのと同時に、七海の意識は途切れた。
* * *