第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
星也は星に触れ、【魔虚羅】に向けて飛ばす。神器――【天之麻迦古弓(あまのまかこゆみ)】から無数の【天羽々矢(あめのはばや)】が放たれた。
そのとき――ガコンッと重たい音が響いたかと思うと、【魔虚羅】が腕を振って【天羽々矢】を薙ぎ払う。
まさか、領域に適応したのか?
また“イヤな予感”――違う。
恐れるな。それすら呪力に変えろ。
「――【天龍】!」
星也の命令に【天龍】が口を大きく開いた。あらゆる【呪い】を滅ぼす陽(よう)のエネルギーが【魔虚羅】へ直撃する。
消えろ! 消えろ! 消えろ‼
祈る想いで【天龍】に呪力を注いだ。
そして――……。
星也は目を見開いた――その瞬間、胸を鋭い痛みが貫く。
「ぅ、あ……ッ⁉︎」
衝撃に息を詰めるも、さらに斬撃に襲われ、すぐに拳が星也の腹を打つ。
「うぁあぁぁッ――――ッ‼」
後方へ吹き飛ばされるのと同時に領域が解除され、壁に強かに打ちつけられた。
「げほっ! ごほっ! がは……ッ‼」
血を吐き出し、傷口を押さえる。出血が止まらない。
詞織と伏黒(呪詛師も)を守っていた【黒衣鳥】は、領域を展開したときに星也のところへ戻ってきている。しかも、【領域展開】後は疲弊していて呼び出せない。
「ちょっと ちょっと! 何 死にかけてるんだよ‼ さっさと倒せよ‼」
「黙っていろと言ったは――……」
『――黙れ』
強烈なプレッシャーと共に、その人物は現れた。
* * *