第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
「――【領域展開 星喰天蓋(せいしょくてんがい)】」
ザァ…と瞬く星々が空を喰らい、夜のような暗い空間が広がる。領域に閉じ込められた【魔虚羅】が首を巡らせていた。
星也に従う十二天将は、破壊されても時間経過で復活する。だが、一つだけ裏技があった。
【領域展開】を使えば、時間経過を待たずとも破壊された十二天将は強制的に復活を遂げる――……。
星也の背後に十二天将が現れたかと思うと、光へと姿を変え、合わさり、うねるように身体をしならせた。
「――【星天(せいてん)・吉祥の星・凶星を喰らう――謹請現示(きんせいげんじ)――『天龍』】」
赤銅色の瞳と白銀の鱗を持った龍が咆哮を上げる。
――十二天将全てが融合した、【陰陽術式】最強の式神。
その背に乗り、星の一つに手を伸ばした。【魔虚羅】が腕を振おうとして、ビシッと縄が動きを捕らえる。
【星喰天蓋】の必中効果――【不動金縛り法】。この領域に足を踏み入れたら最後、身動きが封じられる。
必中効果はシンプルだが、動きを封じてしまえば、後は火力で押し切れる。
星也の触れた星が神剣――【布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)】へと姿を変えた。その柄を握り、神雷を纏わせて振り下ろす。その一太刀が【魔虚羅】に一線を刻んだ。
音を立てて消失した剣を捨て、再び別の星を掴んだ。大蛇を斬り伏せた神剣――【天羽々斬(あめのはばきり)】で胴を斬りつける。それも使用後にすぐに消失した。
この空間では、あらゆる陰陽術が最適化される。
星々は御仏の化身や言霊、式神に姿を変え、今は星也の意思で神器を提供する――しかし、それが使えるのは一度だけ。