第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
「――【拡張術式――不動ノ三『迦楼羅炎(かるらえん)』】――呑み込め‼」
【拡張術式――不動ノ三『迦楼羅炎』】――不動明王の火界咒の降魔の力を最大限 高めた霊鳥――【迦楼羅】を召喚する。
星也の持つ多数の術の中でも高火力を誇る不動明王の真言。そこへ高出力の【迦楼羅炎】の合わせ技で焼き尽くす。
ケーンッと高い声で鳴きながら、【迦楼羅】が炎を巻き上げた。翼をはためかせ、そこから降魔の炎が放たれる。
――ゴオォォオォォオォォォ――ッ!
再度 【魔虚羅】が炎に炙られた。効いている。今度こそ……!
動かなくなった【魔虚羅】に、【迦楼羅】が星也の元へ戻ってくる。
だが――……。
ガコンッと音がしたかと思うと、全身を焼かれたと思った【魔虚羅】が立ち上がった。煙を上げながらググッと起き上がる【魔虚羅】に冷や汗を流すも、状況を冷静に受け止める。
「【迦楼羅】‼」
再び放たれた炎へ、【魔虚羅】は剣を振った。
【迦楼羅炎】を斬った⁉︎
あの剣、正の呪力を纏っているのか⁉︎
「くっ……!」
頭の中で次の手を考える一瞬の間に、【迦楼羅】も剣で斬り伏せられた。炎を散らして消え去る【迦楼羅】に、星也は飛び退くように【魔虚羅】と距離を取る。
真言は呪い――より厳密に言うと負のエネルギーである呪力やそれを持つ者に真価を発揮する。
この剣に込められたのが呪力だったなら、【迦楼羅】を斬ることはできなかっただろう。つまり、【迦楼羅】の性質を見抜いての攻撃。
さっき聞こえたガコンッという重たい音……【勾炎龍】の攻撃の後にも聞こえていた。
あの音が鳴るたびに適応しているのか……?