第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
「【玄武】・【太裳】――合成天将『黒衣鳥(こくいちょう)』封円陣(ほうえんじん)‼」
斬撃の衝撃波にビル群を突き抜け、身体が吹き飛ばされる。だが、詞織たちを漆黒の鳥――【黒衣鳥】に守らせることに成功した。
【玄武】と【太裳】は、守護に特化した式神だ。それも、【封円神】は外側も内側も強固。攻撃を通さず、同時に内側から出ることはできない。
【魔虚羅】の意識は自分に向いている。その間に片づけなければ!
「はぁ……っ! はぁ……っ!」
瓦礫を押しのけながら立ち上がる。そこへ畳みかけるように拳を打ち据えられ、再び吹き飛ばされた。
「ぐあぁ……っ⁉」
そのまま詞織たちがいるところまで戻ってくる。
「ぐっ……っ! はぁ……はぁ……っ! 【不動ノ三――急々如律令】‼」
攻撃が速い――真言を唱えていては間に合わない。
真言を省略し、手印を結んで放たれた不動明王の炎が【魔虚羅】を呑み込んだ。
不動明王の炎は煩悩や悪、不浄を焼き払う智慧の炎。【魔虚羅】は呪術で呼び出されている。
負のエネルギーは不動明王の焼却対象。相手が強ければ、不動明王は威力を増す。