第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
「【この言葉はあらゆる事象を斬り裂く神風の化身――斬刃】!」
言霊で強化した【斬刃】が【魔虚羅】の腕を斬り落とした。
――いける! 畳みかける‼
滾らせた呪力を足に集中させ、【魔虚羅】の腹へ蹴りを決める。吹き飛んだ【魔虚羅】の身体は炎を放ち、煙を上げていた。
「はぁ……」
終わったか……?
警戒しながら見つめていると、砂塵の向こうで陰が立ち上がる。続いて、ガコンッと重たい音が響いた。
なんだ……?
また、“イヤな予感”が……。
「【勾炎龍】! トドメを――……」
砂塵の向こうで、指示を出した【勾炎龍】が掴み上げられ、締めつけられていた。腕が、復活している。それに、焼けた身体も治っていた。
いや、まだだ。【勾炎龍】の炎は……。
【勾炎龍】が、全てを燃やし尽くす炎を吐き出すべく大きく口を開く。ほぼゼロ距離から放つ炎――こちらの勝ちだ。
しかし、【魔虚羅】は炎が放つより早く、力任せに首と胴を掴んで引きちぎった。首と胴を引きちぎられても尚 命令を遂行しようと口に炎を溜める【勾炎龍】の頭を、【魔虚羅】が剣で斬り裂く。
「【騰蛇】! 【勾陣】!」
星也はグッと歯噛みした。
二体 破壊された。【騰蛇】と【勾陣】が敵わないとなると、他の十二天将をどれだけ出し、かけ合わせても話にならない。
腕に括りつけられた剣が振り下ろされる。
このまま食らったら詞織と伏黒が……!