第6章 アニマートに色づく日常【鉄骨娘/始まり】
「呑み込んだぁ⁉︎ 特級呪物をぉ⁉︎ きっしょ! ありえない! 衛生観念キモすぎ‼︎」
驚愕から辛辣な言葉を吐き続ける釘崎に、虎杖がイラッとしながら「なんだと?」と呟くが、そこは伏黒も同感だった。
少なくとも、釘崎の反応は至って正常である。
やがて、五条が「はいはい、そこまで」と手を叩いて注目を集めた。そして、虎杖と釘崎を見る。
「君たちがどこまでできるのかを知りたい。だから、野薔薇、悠仁。二人で建物内の呪霊を祓って来てくれ」
実地試験のようなものだと、五条は続けた。
担任として、受け持つ生徒の実力を把握しておきたいのだろう。今後、生徒に任務を割り振ることを考えれば当然か。
五条の言葉に、釘崎は「げ」とあからさまに顔を顰めて虎杖を見た。
先ほどの、虎杖が特級呪物を喰らったという事実が、まだ抜けきっていないようだ。
そんな釘崎の心情などそっちのけで、虎杖は手を上げた。
「でも、先生。呪霊は呪術でしか祓えないんだろ? 俺、使えねぇよ」
「悠仁はもう、半分 呪いみたいなもんだから、身体に呪力が流れてるよ。まぁ、呪力の制御(コントロール)は一朝一夕じゃいかないから」
これを使いな、と五条が一振りの剣を虎杖に渡す。刀身は短く、刀というよりはナイフに近い。
「呪具【屠坐魔(とざま)】だ」
呪具とは、それ自体に呪力が篭った武器のことだ。存在自体が呪い――つまり、呪霊に効果を発揮することができる。
釘崎は自身の道具を入れたベルトを腰に巻き、虎杖は【屠坐魔】の感触を確かめながら、それぞれ廃ビルへ向かう。