【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第10章 砂の王国での出会い
レインベースに着いた頃には日も暮れていた。
レインディナーズに案内され2人は仕事だと言い奥に消えた。
ミスティは店内を見渡しカジノ台やスロット等、客の顔も含め一通り見て回った。
(ただのカジノって感じね。まぁそんなに都合良くはいかないわよね。)
カウンターバーでシャンパンを受け取り、このまま長居しても今日は無駄だと判断した。
シャンパンの泡を見つめながら、これからの事を思案していたミスティの肩にズシッと荷重がかかった。
「よぉ、姉ちゃん!良い女が1人かい?」
『…えぇまぁ。』
「ならこっちで一緒に楽しもうぜ。」
ほら!っとグイッと肩を抱き連れていこうとする男。店内からはまたかというような溜息とミスティを憐れむ視線が向けられる。
『有難う。でももう帰る所だったので遠慮します。』
目立ってしまっては改めて入店が出来なくなってしまうと思い、穏便に済ませようと思うミスティだが、疲労とこの男に抱かれている状態に我慢が出来ず腕を振りほどいた。
「はぁ!?俺の誘いが受けられないって言うのか!?」
(知らないわよ、誰よアンタ)
「何とか言ったらどうなんだ!えぇっ!」
心の中で叫ぶミスティではあったが、男が手を上げたことに気付き、あぁまた腫れるかな?と思いながら与えられる痛みを予想しながら目を閉じた。
が、ミスティを襲ったのは予想していた頬への痛みではなくパシッという音と共にグイッと引っ張られよろけてドンと顔を何かにぶつけた痛みだった。
「あぁ!?なんだ、お前!?」
「俺の連れにお前こそ何の用だ。」
ミスティはどこかで聞いた気がする声に顔を上げ目を見開いた。
『え、何で…』
そこにはミスティを殴ろうとした男の腕を左手で抑え、ミスティを守るように右手で抱き寄せるスティルハート・レインの姿があった。
「…何すんだ、お前!離せ!」
男は腕を離せとレインの腕を振り払おうとするが、レインに抑えられた腕はビクともしない。
「1人でカジノをフラフラするなんざ、誘ってくれって言ってるようなもんだろ!?その寂しそうな女を俺が善くしてやろうって思って何が悪い!?」
男は喚き散らした。ミスティは、言い返そうと思い動こうとしたがグッとレインの腕に力が込められ叶わなかった。