【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第9章 仕事を忘れて
──ガタンガタン
「ミスティの言ってたことは本当だと思うわ。」
「何の話だ?」
「この前、貴方が言ってたことよ。」
「……。」
──数日前の鍛錬場にて
「お前がここに来た理由は何だ?」
『…何の事ですか?』
「とぼけるな。お前のような奴が何故このタイミングで世界政府に来た?」
『…普通に政府の役人になりたかっただけですが、それでは理由になりませんか?』
ミスティの回答に苛立ちルッチは続ける。
「我々は幼き頃より鍛え弛まぬ努力により強靭な肉体を得るに至った。だが、お前はどうだ?貴族育ちの女が何故そのような動きが出来る?お前はここに来た時点で不完全だが六式の動きをしていた。戦いに身を置く環境に居なければ考えられない事だ。お前の経歴は数年欠落している。その間、何をしていた?」
ポーカーフェイスのミスティの顔が一瞬はピクっと反応した。
「返答次第ではここで俺がお前を殺す。」
脅し等ではなく本心だ。CP9最強と言われるこの俺にそんな事を言われれば大抵の者は失神する。
が、目の前の女は先程一瞬反応を見せたが、恐れ等は微塵も感じでいないようだ。
『…女が強ければ存在そのものが疑われる。男女差別も甚だしいですね。』
吐き捨てるように答えた。
『入隊試験の時の私の強さに疑問を持ったから自分の居るCP9に私を呼んだんですか?私を監視する為に。』
(…気づいていたか)
「だとしたら何だ。」
自身の思惑をミスティに気付かれていたことに驚きながらもルッチは答えた。
『であれば私の勝ちですね。』
「…どういうことだ?」
『女である私の強さに理由が必要なら答えてあげますよ。私は男を見返すために強さを求め続けた。その結果CP9に今居るんだから私の勝ちよね?』
「男だと?」
『えぇそうよ。恋人と駆け落ちのような形で家を飛び出したのにその恋人に捨てられた。何もかも失った女がこの世で生きる為には強くなるしかないでしょ?私だって血を吐く思いでここまできたの。馬鹿にしないで。』
「誰に習った?」
『別に誰からも習っていない。師が居たらもっと早くもっと完璧に色々出来てた。貴方にボコボコにされることもなかった。どう?信じれない?なら殺れば?どうぞ?』
今までのミスティが嘘のような棘のある言い方にルッチは判断に迷った。