【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第59章 方舟ノア
策は無いか悩むミスティの耳に通信を通じてルフィの声が聞こえた。
「兄ほし…おれの好きにしていいんなら……安心してろ!!広場に降りた時からおれ達はジンベエと一緒に魚人島は誰にも傷つけさせねェって決めてるんだ!!──全部任せろ兄ほし、友達じゃねェか!!」
ルフィの声に避難を始めた国民達の足が止まる。自分達の国を守るためになんの関係もないルフィの言葉が国民達に刺さったのだ。
『…ある意味余計まずい状況になったわね。ふふっ』
ルフィの戦う理由が好きだ。友達だからそれだけなのだ。ミスティは笑いながら腹を括った。関節をブラブラさせながら近くに居たジンベエに声を掛けた。
『ジンベエさん…リュウグウ王国付近の海水濃度ってどのくらいか分かる?』
「何!?…まぁ深海じゃからのう。お前さん達が知る海よりは濃いと思うが…」
急に声を掛けられ、意図が分からない質問に戸惑うジンベエ。
『やはりそうよね…死ぬかな、私。』
「お前さん、何をするつもりじゃ…!?」
ミスティは集中する為に深呼吸し両手をノアに向けた。
『私は海に嫌われているし、ましてやこの距離で通常よりも塩が濃いなら尚更だけど…私の力でノアの軌道をズラす。』
「なっ!?…能力者か!?」
『えぇ。上手くいくか分からないけど。ノア本体はルフィに任せる。私が力を使ってもノアは空気砲の中に入ったから彼の戦いには影響はないと思う。』
目の前の華奢な女の発言に戸惑いながらもその力に頼ると決めたジンベエはせめてもと声を掛けた。
「あいわかった…ではお前さんの周囲はわしに任せてくれ。そちらに集中してくれ。頼んだぞ。」
『…尽力するわ。』
(ロー…ごめんね。寄り道した挙句、能力も使って…)
ミスティは心の中でローに謝り、能力を発動した。