【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第55章 戻って来た男
意味有りげなステューシーの言葉にルッチはイラついた。言われなくても自覚していた事だけにいつもなら流す挑発も危うく乗りそうになった。
今の地位に就いて以来、任務が立て続けにあり日々忙しくしているルッチ。確実にCP9の時より仕事量は多い。CP9も他に比べたら忙しいと思うが、今は任務の大半が政府、海軍、マリージョアでの対応が殆どの為、対権力が多くうんざりしている。
そんな日々ではストレスは溜まる一方だ。そんな中で挑発してきたステューシーに思わず反応してしまった。
「クルッポ!」
ハットリが執務机の上に乗ってルッチを見上げながら鳴いた。相棒の様子を見兼ねたハットリは自分に伸ばされた腕を伝いチョンチョンと肩の上に移動し擦り寄った。
「…行くか。」
今日もやらなければならない事が山盛りだ。そろそろ向かわなくては後がつかえる。ルッチは立ち上がり真っ白なマントを身につけて部屋を出た。
部屋を出たところで、カクが此方へ歩いてくるのが見えた。
「おぉ!ルッチ。姿が見えんから迎えに来たぞ。」
「すまん。」
「なんじゃ?何かあったのか?」
「…行くぞ。」
ルッチは答えなかったが、少しの間でカクには十分だった。長年、苦楽を共にしていればこれぐらいで分かってしまうのだ。
(触れてほしくないということかのう…)
カクはそれ以上何も言わず無言の背に着いていく。
「そぉじゃ!今回の任務、現地で合流する奴が居るんじゃろ?」
「あぁ。そうだ。」
今回の任務では、新しくCP0に配属される者が現地で合流する手筈となっている。
「お前の推薦なんじゃろ?珍しいのう…どこで見つけたんじゃ?」
CP0は個々の能力は勿論だが、対権力での任務が多い為、政治的配慮や忖度が求められる。加えて威厳も必要だ。ジャブラやフクロウ等以ての外。
「2年前に一度。」
「それだけか!?」
自他共に厳しいルッチが認める奴は中々居ない。ましてや一度しか会ってない奴とは流石のカクも驚いた。
「そうか…楽しみじゃのう」
「それより先に向かった奴等は大丈夫なんだろうな?」
「報告は来とらんが…まぁ向こうは大丈夫じゃろ。」
今回の任務は既に現地入りしている者がおり、ルッチ達はその者達とは目的が違うのだ。
「まぁ良い。海賊の相手は奴等に任せる。行くぞ。」
──海賊の治める国・ドレスローザ
