【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第53章 2年後
「…海軍が動き出したわ。」
海軍の通信を盗聴していた店主は居候の男に声を掛けた。
「そうか…ではそろそろ忙しなくなる頃だろう。私も動くとする。」
「あ、私も行くわ!渡すものがあるのよ!」
「そうか、では一緒に行こう。コーティング船の操作を教えてやらんとな。」
「でもニセ者のモンキーちゃん一味のお陰で少々騒がしくなっちゃったわね。出航に影響が出ないか心配ね。」
店主に言われ男はふむ…と顎に手を添えた。
2年の月日は各々に強さと心の余裕を齎している筈だ。以前のように敗北等は考えられないが、あくまでも再出発が目的であり勝利では無い。避けられる戦闘は避けるべきだ。だが、海軍の力の入れようを考えればスムーズな出航は難しいだろう。
「まぁもしもの時は手助けするつもりなんでしょう?」
店主にそう問われるも男は明言はしなかった。
「そろそろ行こう…ん?」
「どうしたの?」
店主が聞くと男は店の入口に向かって言った。
「入ってきたらどうだ?」
店主も店の入口に視線を移した。すると扉がキィっと音を立て開き若い女が入ってきた。
「あら!久しぶりじゃない!」
店主が嬉しそうに言った。
「やれやれ。君もこのタイミングとは…」
色々重なるなと男は思った。
(君が此処へ来たということは、納得がいく状態迄になったということか…)
「君も来なさい。手伝って欲しい事がある。」
女にそう伝えると何かを察したのだろう。頷きバーからミネラルウォーターのボトルを1本掴み後に従った。
それぞれの"2年"を乗り越えて再出発の刻(トキ)まであとわずか───