【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第51章 罠
『あ゛〰️〰️暇だよ〰️〰️』
ミスティの盛大な一人言に返って来る言葉はない。それもその筈。ローを始め、ベポ、ペンギン、シャチは最後の心臓集めの為に朝から街へ出ており不在なのだ。
「カフェオレでも入れましょうか?」
『うん…お願い。』
以前ミスティが助けた雑用係のクルーとはあれ以来、仲良くしている。何かとミスティを気遣う彼は、暇過ぎてどうにかなりそうな目の前の恩人に少し手間のかかるカフェオレを勧めた。
「どうぞ!」
『…いただきます』
ミスティが出されたカップに口をつけると程良い甘さが広がり、コーヒーの仄かな苦味と香りが後からやってきた。
『美味しい…』
(あの時みたいに優しい味…)
ミスティは温かいカフェオレを飲みながら、かつて給仕としてミスティの世話をしてくれてた女性を懐かしんだ。
(元気かな…カレン)
思い出の中の彼女はいつも笑顔だった。厳しい任務に追われる日々の中で、彼女と一緒に居る時間は諜報部員としてのミスティの心を温めた。
「あ!」
『…っ!?』
昔を懐かしんでいたミスティの思考が遮られた。
『どうしたの?』
「あ、すみません。驚かせちゃって…今日は皆に良いもん食べさせてくれってキャプテンに頼まれてたから張り切って買い出しに行ったんですけど…買い忘れた物が…ちょっと行ってきます!」
心臓集めに目処がたったとローから聞いていたミスティは、協力してくれたクルーへローなりの労いだとすぐ分かった。
『準備に時間かかるでしょ?私が行ってくるわ!』
「え!?良いんですか??」
『えぇ、どうせローが帰ってくる迄は暇してるから!何を買ってくれば良い?』
ミスティは必要な物を確認し、念の為いつものように変装をし船を下りた。
───
『えっと…』
街へ着くとミスティは必要な物を買い揃える為、メモを見ながら店を探した。
『あ、あったあった!』
目当ての店を見つけ商品を手に取り品定めをしていると気になる会話が飛び込んで来た。
?「今、この島にトラファルガー・ローが居るらしいぜ!」
?「あのルーキーのか?」
ミスティは怪しまれぬよう品定めをしながら耳だけ会話の方へ集中した。