【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第44章 事実の穴埋め
トラファルガー・ローに命を救われ、ハートの海賊団で軟禁生活を送ることになったミスティは片っ端から新聞を読み漁っていた。
数ヶ月意識が無かった事でドレスローザでの任務以降の情勢が分からずに居た。ニコ・ロビンやドレスローザの兵隊の事、自分が離脱してしまった事で事態が悪くなってはいないか心配だった。
幸い、船長のトラファルガー・ローが新聞のバックナンバーを保管していた事で事実の確認と知識の補充は出来そうだ。
だが…
『エニエス・ロビー崩壊…』
ミスティの潜入先であったエニエス・ロビーが崩壊しCP9が海賊に敗けた。皆が敗けるなんて信じられないとミスティは思った。
加えて…
『頂上戦争勃発…』
火拳のエースの処刑を阻止すべく白ひげ海賊団と海軍の全面戦争が勃発。一時は解放されるも正義の前に散った火拳のエース。そして白ひげエドワード・ニューゲートも死んだ。
『こんな事…世界の均衡が保てない。また苦しむ人々が増える一方じゃないっ…!!』
ミスティは唇を噛んだ。海軍は、世界政府は何をしているのか。確かに危険因子の排除は必要だ。だが、これはなんだ。この戦争でどれだけの命が失われたというのか。そして、白ひげの庇護を失った領土や国々は再び殺戮と侵略の恐怖に怯えることとなる。
『…レインっ…!!貴方は何をしているのっ…!?』
皆が安心して暮らしていけるようにする事が自身の役割だと言っていたレイン。この状況に何を思っているのだろう、とミスティは愛していたかつての恋人を思った。
そして…
『エースにルフィ…』
ミスティにとっては懐かしい2人。会ったことはないが良く知っている。海賊になっている事は手配書を通じて知っていたミスティ。だが、サボの一件で気にしないようにしていた。そんな2人が自身に大きく関わって来る等、予想もしてなかった。
サボの義兄弟であるエースが死に、ルフィは助かったようだがその後はよく分からない。無事なのだろうか。
『サボ…』
そして、心配なのはサボだ。サボは記憶を失くしてしまった。エースが死んだ事もルフィが傷付いた事も耳に入っていると思うが、この2人がどれだけ自分にとって大切な人だったのかと言う事に気付けているのだろうか。せめて自分が近くに居たのなら何かが違ったかもしれないとミスティは胸が傷んだ。