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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第43章 白いクマとクマの酷い人間


目を覚ますと知らない場所に居た。此処はどこだろうと確認したいが身体が動かなかった。

「気分はどうだ?」

抑揚のない冷たい声が響いた。声の主を確認しようと視線だけそちらへ向けた。

モフモフした帽子を被ったクマの酷い男が立ってこちらを見ていた。

『…わ、たし…なんで…』

思うように動かない口と音にならない息に苛立ちを覚えながら何とか発した言葉。

「俺は医者だ。お前は怪我をして数ヶ月眠っていた。取り敢えずまだ休め。話は回復してからだ。」

男に言われて自分の置かれた状況が分かった。自分の身体の状態の悪さも。

私は襲ってくる睡魔に逆らうことなく意識を手放した。



──


次に目覚めた時はクマが酷い男ではなく本物のクマが居た。私は驚いたが目の前のシロクマは私の事を心配そうに見つめてくる。驚きと身体の不調で思うように声が出せない私がどうする事も出来ずに居るとシロクマ自ら声を掛けてきた。

「大丈夫?身体痛い所無い?」

予想外の優しい口調と労りの言葉に私は更に驚いた。どうしようか迷っているとシロクマの表情が今まで以上に不安な顔になった気がした。私は弱々しく頷き肯定の意思を伝えた。

「…良かったー!!オレのせいで、君から目を離してしまったから腕…怪我させちゃってごめんね。」

私の事、何者か知りもしないのに心配をしてくれている。何か伝えないと。

『…あ…りが…と…』

私が声を絞り出すとシロクマは慌てた。

「わぁ、無理しないで!君はやっと目が覚めた所なんだから!」

立ち上がりオロオロしながら枕元に寄って来た。何だか気持ちが暖かくなって涙が出そうになった。


──


シロクマはベポと言うらしい。自己紹介をして貰いここが海賊船である事、仲間の事、故郷の事、沢山話してくれた。私が何者か分からない状態でここまで話す事は海賊としては浅はかというかお喋りというか…良くないことだがベポには好意が持てた。

特に仲間の事を話すベポは楽しそうで、ことキャプテンの事を話す時は目をキラキラさせている。

(尊敬…しているのね。)

そして私が今此処に居る事もそのキャプテンのお陰なのだと教えてくれた。キャプテンと言うのは目が覚めた時に居たあのクマの酷い男のようだ…見覚えはある。恐らく手配書。手配書がある海賊であれば頭に入っている筈なのに思考が回らず思い出す事が出来ない。
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