【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第4章 美しき諜報部員と参謀総長
──その夜、参謀総長がバルティゴに帰還した為、宴が開かれていた。
「サボ、お疲れ~」
「参謀総長、任務ご苦労様でした!今回は収穫あったみたいですね!」
「総長が居なくて寂しかったです♥」
皆、参謀総長の戻りを喜び、サボの周りはあっという間に人集りが出来た。
セレナも宴には顔を出していたが、普段極限られたものとしか関わらない為、このような場の居心地の悪さはこの上ない。
(…自室に戻ろう)
そう思い席を立ち部屋を出ていこうとした時、
「セレナちゃん!」
明るい女の声で名前を呼ばれた。
振り返るとオレンジ色のショートカットの女性が立っていた。
『…コアラ。』
「大丈夫?楽しんでる?」
コアラはセレナやサボより1つ年上でサバサバした性格。面倒見も良く見た目も可愛い。革命軍の中でも人気のある女性だ。
しかし、セレナはそんなコアラとは距離を置いていた。あまり関わらないよう敢えてそうしていた。理由は1つ。彼女はサボの相棒だから。別に2人が恋仲だとかそういう事は聞いてないし事実そうでない。
でも、任務で組むことが多い2人は常に一緒。サボの隣には必ずと言って良いほどコアラが居る。そんな2人なので革命軍の中でも公認の仲とされている。
『あ、えっと。大丈夫。有難う。ちょっと疲れて…部屋に戻ろうかと。』
「そう?今日の打ち合わせでも元気無さそうだったから気になってたんだ!長期任務だったもんね!そりゃ疲れるよね~ゆっくり休んでね!」
『心配掛けてごめんなさい。じゃあおやすみ。』
「うん♪おやすみ~♪」
バタバタバタッ
──バタン
ドサッ
セレナは急いで自室に戻りベッドにダイブした。
何だかモヤモヤする。コアラは小さなことにも気付いて凄く良くしてくれる。私を皆の輪に入れてくれようとする。
でも、それが苦しい。コアラだから。サボの隣に居れるコアラだから嫉妬してしまう…コアラは何にも悪くないのに。
7年前に誓ったのに。サボのことは同じ革命軍のメンバーでただの同期。しかし、月日は彼女の誓を鈍らせる。
サボは成長した。同じ位だった背が嘘のよう。180cmは優に超え、少し声も低くなった。精悍な顔立ちに加え緩い癖のある金髪と左目の火傷が色っぽさを醸し出す。
少年から青年に成長した彼の魅力が、セレナが封印していた彼への愛しさを再び募らせようとしていた。