【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第4章 美しき諜報部員と参謀総長
「ドラゴンさん!只今戻りました!」
明るい女の声が響く。
「おい待て、コアラ!報告は俺がするから!」
「えー、だってサボ君、女性兵士に囲まれて色々お忙しそうだったから私が代わりにしようと思って(ニヤニヤ)」
「いや、あれは別にそんなんじゃねぇから!総長である俺がする!ドラゴンさん、早速ですが報告を…」
(相変わらずな2人だな…)
ドラゴンは、目の前でギャーギャー言い合いをする男女とそれを生暖かく見守る少し離れたところに居る魚人のハックに声を掛けた。
「ハックよ。色々大変だったな…ご苦労」
「…いつもの事じゃ。慣れておる、それよりも…」
ハックは辺りを見回しながらドラゴンに小声で尋ねた。
「…セレナは居ないのか?任務か?」
バルティゴに帰還し皆に出迎えられ、ドラゴンの部屋にやって来たハック達。その間、1度もセレナに会わなかった。自分やコアラだけならまだしも革命軍のNo.2である参謀総長の帰還に立ち会わない兵士は居ない。
「いや、帰ってきている。まぁそっとしておけ。」
「…そうか。相分かった」
「助かる」
この魚人のハックもセレナの過去を知る1人であるが、組織に属するものとして上下関係はしっかりしておかなければならないとは思っている。
若干17歳で革命軍の参謀総長の座に就いたサボ。
同じく17歳で革命軍の任務成功の為に暗躍する敏腕諜報部員セレナ。
この2人を育てたのは、ハックも含めドラゴンを始めとする革命軍の主要メンバーだ。2人は期待以上の成長を遂げ、今の革命軍には居なくてはならない存在になった。
これだけであれば良かった。これだけなら…
過去を忘れた男
過去を消した女
この事実が、2人の成長を近くで見守ってきたハックにとっては、重くのしかかり秩序維持の判断を鈍らせる。
(まぁ、総司令官があぁ言うなら目を瞑ろう…)
そう考えていると、
「ところで、セレナは戻っていますか?俺たちの情報と次の任務のことで話がしたいんですが見当たらなくて。」
(こっちはそうはいかんな…)
「戻っているが長期に渡る任務ゆえ暫し休ませている」
「…そうですか。まぁ時間を見て打ち合わせします。行くぞ、コアラ。」
「はーい!!」
ペコッと頭を下げて出ていく2人。
──そんな様子を外から見ていた者が居た。
『……。』
