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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第30章 誤算と裏切り


出国を1週間後に決めたミスティは今日最後のピアノを弾いていた。マスターに此処を離れる事を伝えると残念がられた。ミスティの演奏が聞き納めになると知った客でバーは大盛況だ。

──ガチャ

「あ、すみません。生憎今日はもう席が…」

扉が開き入ってくる者に満席である旨を伝えようとしたマスターは男の顔を見て青くなった。

「これは、国王様!大変失礼致しました。どうぞ、こちらへ。」

(国王!?)

演奏していたミスティにもその声は届いた。居合わせた客も男を見るなりサーッと道を開けた。

「此処に良いピアニストが居ると噂で聞いた。」

ピンクの羽のコートを靡かせ男はピアノに近づいた。

「お前か…成程、噂通りの女だ。」

男はミスティの顔に手を添え自分の方へ顔を向けた。

「こ、国王様!彼女のピアノは本日が最後なのです!その席に来られるとは何と運が良い!流石でございます!」

(余計な事をっ!)

ミスティは慌てて喋るマスターに心の中で悪態を吐いた。

「最後だ?どういうことだ?」

「自国へ帰るようでして…な?セレナちゃん?」

『…はい。母親が病気になり心配なので。』

ミスティが予め用意していたシナリオ通りに喋ると男はニヤッと口元に笑みを浮かべた。

「母親が病気ね~それは帰らねぇとな。」

ミスティはホッとした。だが、次の言葉に背筋が凍った。

「なら今から王宮に来い。そのピアノ、俺だけの為に弾け。」

『なっ!?』

そう言うと男はミスティを片手で担ぐと店の外に出た。

『あの!こ、国王様っ!離して下さい!』

「黙ってろ。舌噛むぞ。」

そう言うと男は空に手を翳した。手から出た糸を利用し空へ飛び立った。月歩など足元に及ばない程のスピードと風圧によりミスティは意識が飛びそうにるのを必死に堪えた。

あっという間に王宮に着くと大広間のような部屋に連れて行かれようやく解放された。

「さて、早速弾いてもらおうか?セレナちゃん?」

男の不気味な笑みにミスティは従うしか無かった。椅子に腰を下ろし先程とは比べ物にならない立派なグランドピアノの鍵盤に手を添えゆっくり弾き始めた。

(このタイミングで私を…)

嫌な予感しかしなかった。






──何を考えている、ドフラミンゴ
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